食物繊維を便秘解消視点でチェック
便秘=食物繊維をとる、という公式が広く知られるようになった今、なんだか便秘を治す特効薬のようなイメージが先行してとにかく食物繊維をとらなければと思いがちですが、ただがむしゃらに摂取すればいいというものではありません。
便秘と食物繊維の関係性をよく知っておかないと、逆効果になることがあります。
『たくさん食物繊維をとっているのに出ない』のワケ
便秘がひどくて食物繊維をとっているにも関わらず、
『効果がない』
『思うように出ない』
という人がいます。
その原因として考えられるのは、
『摂取の仕方を間違えている』ことです。
間違った食物繊維のとり方としては、『1、水分が足りない』『2、自分に合っていない』『3、とりすぎている』の三つが考えられます。
実は食物繊維には、水に溶けない『不溶性食物繊維(ふようせいしょくもつせんい)』と水に溶ける『水溶性食物繊維(すいようせいしょくもつせんい)』があります。
このうち、不溶性食物繊維は、一般的に『食物繊維がたくさん含まれている』と知られているごぼうなどの根菜、玄米や葉物野菜に多い成分で、便秘に悩む人は知らずにこれを多くとっていることが多々あります。
ですが、不溶性食物繊維が便秘に効果的に作用するためには、水分が必要なのです。
水を吸って大きくふくれ、便の量をふやして腸を刺激する、そんな作用を持つ不溶性食物繊維は、水分量が足りていないと逆に便が硬くしてしまうのです。
食物繊維は必ずたっぷりの水分とセットでとるようにしましょう。
便秘は単純に『腸が動かなくて出ない』と思われることが多いですが、実際はその原因によってさまざまなタイプに分かれています。
そのうち、直腸まで便が降りてきているのに、直腸や肛門周辺に問題を抱えて便が出にくい直腸性便秘(ちょくちょうせいべんぴ)では、食物繊維をとりすぎるとますます便の量が増え、おなかが張ったりガスが溜まったりして、余計に苦しい状態になってしまいます。
食物繊維をがむしゃらにとる前に、自分がどのタイプの便秘なのかをきちんと知っておくことが大切です。
食物繊維は必要なものですが、あまりとりすぎると他の栄養の吸収の邪魔になり、栄養のバランスが乱れてしまうことがあります。
成人の一日あたりの食物繊維の目標量は25g以上となっていますが、極端に多い量をとりすぎないように気をつけましょう。
食材に含まれる食物繊維の量とバランス
イメージとして『食物繊維が多い食べ物』は出てきますが、不溶性、水溶性などと言われるとよくわからなくなってきますよね。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維のバランスは大切で、不溶性:水溶性が2:1になるよう摂取するのが理想的とされています。
そこで、目安になる二つの数値があります。
食物繊維の量がわかるFI値
FI値は『ファイバー・インデックス値』の略で、食材のエネルギー量を食物繊維の量で割った数値です。
このFI値が低い食べ物なら、低カロリーで多くの食物繊維をとることができます。
ダイエットはしたい、でも便秘になるのはイヤという人は、FI値を参考にすると効率が良いでしょう。
FI値が低い食材として、こんにゃく、ひじき、しめじ、わかめなどが上げられます。
食物繊維のバランスがわかるSF値
一方、食物繊維全体の中に水溶性食物繊維が何%含まれているのかを示すのがSF値です。
SF値が高い食材を選べば、水溶性食物繊維をバランスよくとることができます。
みかん、大根、ごぼう、たまねぎ、いちごなどがSF値の高い食材です。
このうち、ごぼうやたまねぎ、大根はSF値が高くFI値は低く、『低カロリーで水溶性食物繊維をバランスよく取れる』とても優れた食材です。
果物は水溶性食物繊維が多い傾向にありますが、同時にカロリーも高めなのでとりすぎに気をつけたいところです。
食物繊維といっしょにビタミンCも効率よくとる
便秘には食物繊維と共にビタミンCも効果的とされていますが、経済的な面からもひとつの食材で両方を効率よく取れたら良いですよね。
とはいえそれをいちいち計算しながら買い物するのは大変で、毎日続けるなんてとても無理です。
そこで手軽に成分量のめやすとして活用できるのが、計量カップです。
食材を普段使う手ごろな大きさに切って200mlの計量カップに入れたとき、その分量でどれくらい食物繊維とビタミンCが含まれるのかを考えるのです。
この方法で計測した場合、ブロッコリーやかぼちゃ、ピーマンがワンカップあたりの食物繊維とビタミンCの量が多い食材と言えます。
葉物野菜の代表であるキャベツや前述のたまねぎを使って、食物繊維とビタミンCの両方をとる場合、それらを多めに使える料理にすると良いでしょう。